今大会の予選には6,535名の作品が出品され、予選を通過した3,298名が日本武道館・大道場で行われる本選に出場した。
大会は午前9時半に始まった。開会式では、松永光大会会長(日本武道館会長)が挨拶に立ち、「第50回全日本書初め大展覧会・席書大会を盛大に開催できますことは、誠に嬉しい限りであります。皆様には、日本の伝統文化である書道の素晴らしさを世界に広めるという気持ちをもって、より一層精進していただきたい。新年にあたり、この一年、皆様の各方面でのご活躍と、書道がますます盛んになりますよう祈念いたしますとともに、今日は、日頃の成果を遺憾なく発揮されますよう、頑張ってください」と出場者を激励した。
続いて、加藤東陽審査部長が、「この全日本書初め大展覧会・席書大会は今年、第50回を迎えました。50回大会にふさわしい力強い作品を期待しております」と挨拶を述べた。
開会式が終わり、席書に移った。この席書大会は、準備から席書、作品選び、片付けまでを、自分一人の力で行う。出場者は入場してそれぞれの席に着くと、静かに筆や墨の準備をし、配布された半切用紙を広げ、心を落ち着かせて開始の合図を待った。「ドーン」と腹に響く大太鼓の音で一斉にスタートすると、会場は静まり返った。
出場者は、24分間という限られた時間の中、各自の課題語句を手本なしで2枚書き上げる。幼児・小学生・中学生は丁寧に、力強く筆を運び、「うま」(幼児)、「さくら」(小一)、「わかたけ」(小二)、「つよい子」(小三)、「日本ばれ」(小四)、「山里の春」(小五)、「広い宇宙」(小六)、「新しい時代」(中一)、「平和を願う」(中二)、「生命の尊重」(中三)の語句を書き進めていた。一方、高校生から一般の出場者は、行書や隷書など、自由な書体で、課題語句を個性ある作品に仕上げていった。
作品を書き終えると、2枚のうち1枚、提出する作品を決めなければならない。もちろん小さい子供でも観客席からの声に応えて選んではいけないルールとなっている。
「ドーン、ドーン」と2回の大太鼓の合図で席書が終了すると、全員で立ち上がって作品を高く掲げ、観客席で見守っている保護者や応援している仲間たちに披露する。来賓の先生方から賞賛の声が上がり、会場中から惜しみない拍手が送られた。
第五十回全日本書初め大展覧会・席書大会
日本武道館で3,298名が書初めに挑戦
第50回を迎えた全日本書初め大展覧会・席書大会は平成26年1月5日(日)に開催され、幼児から90歳までの全国から集まった予選通過者3,298名が、計6回に分かれて課題語句に筆を揮った。
計6回の席書を終え、閉会式では、三藤芳生大会委員長(日本武道館理事・事務局長)が、「記念すべき第50回全日本書初め大展覧会・席書大会が無事に終了いたしました。これまでこの大会をご指導・ご支援くださった先生方に心から感謝を申し上げます。先生方、書道を学ぶ皆様、書塾の先生方、ご家族の皆様には、今後ともご支援をいただけますよう、心からお願いを申し上げ、主催者としての言葉といたします」と挨拶を述べた。
続いて加藤審査部長から、「日本武道館とともに50回を迎えたこの大会に出場したことは、24分間という短い時間ではありましたが、この席書の体験は皆様の心に深く刻まれるものと思います。皆様には、これから先もこの貴重な経験を糧に、より一層の高みを目指して頑張っていっていただきたいと思います」と講評があった。
翌6日には、審査会が行われ、厳正・公正な審査のもと、内閣総理大臣賞をはじめ、文部科学大臣賞などの各賞受賞作品が選定された。
この後、1月9日には公募も締切られ(19日審査会)、席書と公募とも日本武道館奨励賞以上の特別賞について、2月23日に、展覧会が日本武道館小道場で、授賞式はホテルグランドパレスで行われた。
第五十回全日本書初め大展覧会・授賞式
第50回全日本書初め大展覧会・授賞式は、2月23日(日)、東京・千代田区のホテルグランドパレスで、受賞者及び関係者ら約600名が出席して盛大に開催された。
記念すべき第50回の節目を迎えた本展覧会は、1月5日に日本武道館大道場で行われた席書大会の作品(予選を含む)、並びに国内外からの公募作品を合わせた1万5,814点の中から、特別賞等受賞者334名及び優秀・優良団体の代表者30名の表彰が行われた。
栄えある内閣総理大臣賞には、栃木県・那須塩原市立三島中学校3年の春原歩美さん、日本武道館大賞には、福岡県立太宰府高等学校2年の江﨑愛子さんの作品が選ばれた。
また、授賞式終了後には、第50回展の開催を祝して記念式典・祝賀会が関係者120名出席の下で挙行された。
定刻の午後1時から始まった授賞式では、はじめに松永光大会会長(日本武道館会長)が主催者を代表して、「全日本書初め大展覧会は、本年で第50回目を迎えました。日本武道館は、国民、特に青少年の健全育成を目的として設立され、文武両道の立場から、創建当初より、日本の誇る伝統文化である武道と共に、書道の普及・奨励を推進し、書初め大展覧会を開催してまいりました。今回はその記念すべき展覧会であります。席書大会と共に全国各地から素晴らしい作品が寄せられ、厳正・公平な審査によって内閣総理大臣賞をはじめとする各賞が選ばれました。受賞された皆様には、今後も引き続き書道に精進されて、字の上達と共に、自身の心を磨くよう励んでいただきたい」と挨拶を述べた。
次に、下村博文文部科学大臣の祝辞を来賓を代表して西辻正副文部科学省初等中等教育局主任視学官が代読し、「第50回全日本書初め大展覧会が盛大に開催され、本日授賞式を迎えられたことを心よりお慶び申し上げます。日頃から書写・書道に精進され、栄えある各賞の受賞者となられた皆様に心よりお祝い申し上げます。本展覧会は、今年で50回を迎える節目の年となりました。 この伝統ある書初め大展覧会は、書初めを通じて青少年の健全な心身の育成と、国民の豊かな深情を養い、併せて伝統文化の振興・発展に寄与することを目的としており、多くの方々から高い評価を得ております。本展覧会の開催に際してご尽力賜りました関係各位に敬意を表しますと共に、本展覧会のますますのご発展を祈念してお祝いの言葉といたします」と読み上げた。
最後に、臼井日出男大会副会長(日本武道館理事長)が閉会の辞を述べ、授賞式は盛会裡に終了した。
賞状と楯がプレゼンターの
先生から手渡される
謝辞を述べる春原歩美さん
会場の様子
展覧会場の様子
◇展覧会
また当日は、日本武道館小道場で、午前10時から午後4時まで展覧会が開かれ、内閣総理大臣賞から日本武道館奨励賞までの特別賞受賞作品333点と、大会審査顧問(本誌編集顧問・編集委員)の特別出品作品12点が展示された。開場と同時に、例年を上回る大勢の受賞者やその関係者、また書道愛好家が来場し、自身の作品の前で記念撮影をしたり、他の作品を鑑賞したりと、大盛況だった。
◇第50回全日本書初め大展覧会記念式典・祝賀会
授賞式終了後、同ホテル3階「白樺・鶴の間」において、第50回全日本書初め大展覧会記念式典・祝賀会が、関係者約120名の出席を得て挙行された。
式典は、三藤芳生日本武道館理事・事務局長の開式の辞で始まった。
国家斉唱の後、松永光日本武道館会長が、「皆様のご支援・ご協力により、書初め大展覧会が第50回を迎えられたことは、誠に喜ばしい限りであります。日本武道館は、わが国の伝統文化である武道と書道を、将来を担う多くの若者にしっかりと根付かせていくため、これからも文武両道の事業を続けてまいります。今後ともよろしくご指導賜りますようお願いいたします」と挨拶した。
続いて西辻正副文部科学省初等中等教育局主任視学官が、「今を生きる力、確かな学力、豊かな心、健やかな体を身に付けた次代を担う子供たちを育てていくためには、書道や武道の持つ役割は益々重要になります」と祝辞を述べた。
そして、臼井日出男日本武道館理事長が、「これからも立派な人づくりのために、先人たちが営々と築き上げてこられた書道と武道がますます発展してまいりますよう祈念して」と発声をし、全員で乾杯、懇談に移った。出席者はそれぞれに50年の歴史を振り返りながら旧交を温め、和やかに第50回展の成功を祝した。