ロシア連邦民族・伝統武道団交流演武会
ロシア民族・伝統武道団総勢52名が来日し、ロシアの武術を披露
2014年10月2日、日露武道交流年記念事業として、ロシア連邦民族・伝統武道団が来日した。武道団はサンボ、マス・レスリング(サハ共和国)、ハプサガイ(サハ共和国)、コレッシュ(タタルスタン共和国)、コサック武術(ロストフ州)の各地域で行われる武術の演武者と、ロシア武道連盟、スポーツ関係者、アスリートなどを含めた総勢52名の団員で構成された。
3日は日本武道館へ表敬訪問し、あわせて記者会見が開かれた。4日は日本武道館前広場で開かれた交流演武会で、各ロシア武術の演武披露と体験会が行われた。5日には日本武道館五十周年を記念する日本武道祭に招待演武として参加。6日に予定されていた交流演武会勝浦大会は台風の影響であいにく中止となったが、武道を通じた日露交流促進の目的を果たして一行は帰国した。
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日露武道交流年記念事業ロシア連邦民族・伝統武道団交流演武会東京大会
(主催=日本武道館・ロシア武道連盟、後援=外務省・在日ロシア連邦大使館・日本武道協議会)
10月4日、ロシアの伝統武道(サンボ、ハプサガイ、マス・レスリング、コレッシュ、コサック武術)と天道流薙刀術の演武、観客との体験交流会が日本武道館前広場で行われた。
午後1時、1500名の観客が集まる中、開会式が行われた。三藤理事・事務局長による開会の辞で始まり、松永会長が主催者挨拶を述べ、グレゴリー・カベルスキーロシア連邦民族・伝統武道団団長、高村正彦武道議員連盟会長(日本武道館常任理事・日ロ友好議員連盟会長)、エヴゲーニー・ウラジーミロヴィッチ・アファナシエフ駐日ロシア連邦特命全権大使、林肇外務省欧州局長が、それぞれ挨拶に立った。
演武と体験会は、1部と2部に分かれてそれぞれ2回行われた。第1部では、サンボ、ハプサガイ、マス・レスリング、天道流薙刀術、コレッシュ、コサック武術の順で演武が披露された。天道流薙刀術では橋本久美子元首相夫人と安倍昭恵首相夫人も仕かけ応じの演武を行った。
演武の後には、体験交流会が約30分間開かれ、広場に設けられた4つのテントで参加者がロシア武術を体験した。各テントは大勢の体験希望者に囲まれた。
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武器を使わない護身術として、1920~30年代に誕生した。良いものは取り入れて発展と革新を続けるという精神に立ち、様々な民族文化の武術手法のみならず、精神的規範も取り入れて発展してきた。ロシアでは30万人の愛好家が親しんでいる。
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ロシア北東部に位置するサハ共和国の伝統スポーツ。マスとは木の棒を意味する。相手に触れることのない格闘技で、向かい合った選手は板に足を踏ん張り、一本の木の棒を引っ張り合って戦う。相手を自分の側に引き寄せるか、木の棒を奪った者の勝利となる。
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ロシア連邦西部に位置するタタルスタン共和国を構成するタタール民族の祝祭行事の目玉として受け継がれ、強さ、敏捷性、耐久性を競う。相手の体を一度床から離して倒さなければならず、離すことなく行われた技は得点とはならないのが特徴である。
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戦う民族であるコサックは、数世紀に渉って国を守り、自らの武術を完成させてきた。最も基礎となるのはコサック刀の習得であり、古来の武器の使い方を習得することで、祖先から受け継がれた戦闘の典型的な身動きを無意識に身につける。
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天道流薙刀術では、橋本久美子元首相夫人と安倍昭恵首相夫人の演武も披露された。
第2部は天道流薙刀術を除くロシアの伝統武道の演武、そして終了後は第1部同様に体験交流会が行われた。また、団員として来日した元総合格闘家ヒョードル・エメリヤネンコ氏(ロシア連邦スポーツ省特別補佐官)のサイン入りブロマイドが本人からファンに手渡され、400名が列をなした。
午後4時、閉会式にて臼井理事長が主催者を代表し挨拶し、ラミル・ガバソフロシア武道連盟常務取締役が関係者に感謝の言葉を述べ、交流演武会は終了した。
ロシア武術体験の感想
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「大学で合気道部に所属していますが、ロシアの武道は、力の流れを意識するところが合気道と似ていると思いました」(18歳・男性)
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「演武を見て体験してみたいと思いました。引っ張り合うときの力の入れ方が難しかったです。コサック武術も体験したいです」(中学1年・男性)
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「少し難しかったのですが、優しく、わかりやすく教えてくれました。機会があればまたやってみたいです」(9歳・男子)
ロシア連邦民族・伝統武道団交流演武会勝浦大会
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10月6日、交流演武会勝浦大会が千葉県・勝浦市の国際武道大学で予定されていた。しかし、台風18号の関東地方接近の可能性が伝えられており、参加者の安全や交通機関の影響を考慮して中止となった。実施されれば、国際武道大学体育館で、ロシア各種目の演武、国際武道大学学生や勝浦市民との体験交流会が行われるはずだった。