兵庫県(姫路市)地域社会柔道指導者研修会
期 日 | 平成27年8月4日~5日 |
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会 場 | 兵庫県立武道館(兵庫県姫路市) |
受 講 者 | 43名 |
派遣講師 | 山崎俊輔八段(全日本柔道連盟理事) 田中裕之六段(全日本柔道連盟参与、同武道必修化ワーキンググループ) |
地元講師 | 奈木宏昌五段、宮地毅匡五段 |
概要
本研修会は、中学校武道授業に特化した内容で開催した。43名の参加者が集まり、多くが柔道経験・柔道指導経験のない教員であった。
はじめに田中講師による講義が行われた。続いて実技に移り、山崎講師・田中講師が交代で指導して、受け身、投げ技、固め技の授業における教え方を実践していった。
一つひとつの受け身や技について細かく段階的な習得方法が展開され、柔道経験のない受講者も抵抗なく、安全に、それぞれの動きを身に付けることができていた。所々でゲームの要素を取り入れることにより、柔道の楽しさも伝わったようであった。また、田中講師からは、生徒自らが実践して考える学習法「アクティブ・ラーニング」が提唱され、実技の中でも取り入れられた。
研修内容の詳細は下記のとおり。
1日目 | |
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講義(田中講師) | |
講義「評価の考え方と実際」 | |
実技1(山崎講師) | |
ウォーミングアップ | 身体接触に慣れるための複数人で行うウォーミングアップをいくつか紹介した。 |
後ろ受け身① | 受け身の効果と、基本の方法を説明。実践では、段階的に指導し、徐々に習得できるようにした。 |
実技2(田中講師) | |
横受け身① | 横たわって→しゃがんだ体勢から→立った体勢から |
前回り受け身① | 膝を着いた状態から前回り受け身をとれるようにした。 また、受け身全般の補足として、頭を打つことの危険性を説明。頭を打っていないかの確認、もしも打った場合にはすぐに申し出させることが重要であることが話された。 |
実技3(山崎講師) | |
移動の基本 | すり足、つぎ足、あゆみ足 |
崩し | 八方の崩し |
後ろ受け身② 横受け身② |
2人組で行う。後ろ受け身は、うつ伏せに寝た相手の背中に座った状態から行う。慣れたら下になる方は体を少し高くする。横受け身は、倒す方が体捌きや崩しを加えて行う。こちらも徐々に姿勢を高くしていった。 |
膝車 | はじめに組手の基本を説明。倒される方は、徐々に体勢を高くしていく。立ってできるようになったら崩しや回転を加え、最後は約束練習を行った。 |
実技4(田中講師) | |
評価(アクティブ・ラーニング) | 授業では、評価の視点を生徒に伝え、どこに気をつけると良いか明らかにすることが大切であるとした。視点を与えたうえで、そのポイントについてどう動けばよいか、生徒自ら考えるアクティブ・ラーニングにより、定着・意欲の面で効果が上がる。ここでは膝車を例に3つの視点をグループで検討し、発表。その後、実際に技を掛け、考えた基準をもとにグループ内で評価し合った。 |
前回り受け身② | 高い体勢からの前回り受身を練習した。 |
出足払い | 1人で動作の練習。次に組んで崩しまでの動作を行い、慣れたら実際に掛けて相手を倒す。 |
2日目 | |
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実技5(山崎講師) | |
支え釣り込み足 | 1人で動作の確認→2人組みで崩しまでの動き→ゆっくり投げる→動きの中で技を掛ける |
体落とし | 膝立ちで→しゃがんで→1人で崩しの形を確認→組んで技を掛ける→動きの中で掛ける |
大腰 | 相手を崩して腰に乗せる練習→投げる前までの動き→投げる |
釣り込み腰 | |
実技6(田中講師) | |
事故の防止 | 事故防止には投げた相手を守る配慮が大切であるとし、体落としを例に、4人組で動きをチェックし合った。 |
受け身の指導 | 受け身をうまく取れない生徒にどう助言するか、グループで話し合い、発表した。 |
実技7(山崎講師) | |
準備運動 | 海老”など固め技に必要な準備運動 |
袈裟固め 横四方固め 上四方固め |
抑え方と逃げ方を実演して解説し、実践 |
実技8(田中講師 | |
固め技(アクティブ・ラーニング) | 相手のどこを抑え、膝をどう使うと相手が逃げにくいか、2人組で動きながら考え、発表した。 |
固め技の自由練習 | 片膝を着いた状態で始める試合形式で、審判係、時計係を含めた4人組で行った。 |
固め技での返し方 | うつ伏せの相手をどう返すか、グループで考えて答えを出した。 |
実技9(奈木講師、宮地講師) | |
審判法 | 基本のジェスチャーを学んだ後、2班に分かれて質疑応答を含めた説明がなされた。 |
【受講者の感想】
・とても参考になった。持ち帰って生徒に教えたい。
・自分の技術を高めるとともに、授業の展開の仕方も勉強することができた。
・導入がうまく、いつの間にかたくさんの技や知識を習得することができた。
・柔道の楽しさや喜びを感じることができた。
・形にはめないことの大切さ、安全面をどう考えるかなど、身をもって体験することができた。