武道の振興・普及

山口県(山口市)地域社会柔道指導者研修会

期間 平成26年11月6日(木)~7日(金)
場所 維新百年記念公園スポーツセンター武道館
参加者 26名(内中学校教員17名、高校教員4名、段位を持たない参加者16名)
派遣講師 鮫島元成八段、石川美久五段

概要

 中学校武道必修化に主眼をおいた指導者研修会が山口市で開催されるのは3年連続。柔道初心者が半数以上参加し、柔道の基礎知識を学び、体験し、中学校体育授業での指導法を研修した。

 初日、鮫島講師が「柔道とは何か」、「柔道の創始者・嘉納治五郎の教え」等について講義を行った。
「単に技を教えることが目的ではない。柔道を通した人間教育が目的である。技が上手にできても日常生活には役立たないが、足捌き、体捌き、受身を身につけるとケガを防ぐことができる」と初心者にもわかりやすく柔道指導者の心構えを説明した。
 続いて、受身の指導。段階にあわせて受身の姿勢を学んだ。
 午後は柔道衣の着方にはじまり、基本となる体捌き、体捌きを活用して、膝車、体落、大腰、釣込腰、払腰、さらに抑え技の基本動作の指導が行われた。一つの技の動きを覚えるのに四苦八苦の初心者に対して、鮫島講師は「指導要領にある技をすべて教える必要はないので、指導者自身が得意技に時間をかけて指導するという方法もある」と声をかけた。

 2日目は、鮫島講師が「柔道修業の目的」のテーマで講義。次に前回り受身の指導が行われた。鮫島講師からは、「きれいな受身は、稽古を重ねてできるようになるものであり、まずは受身の姿勢を学ばせることが大切」と指導があった。
 続いて大外刈の指導法。「大外刈は、頭を打つ危険があるといわれるが、後ろに倒れるということは日常でもあること。段階をふんで指導すればケガをすることはない」と鮫島講師は生徒の習熟度に合わせた指導を行う重要性を説いた。
 さらに連絡技、抑え技、締めくくりとして自由練習が行われ、参加者は2日間で学んだ技を出し合い、気持ちよさそうに汗をぬぐった。
 鮫島講師から「研修会で学んだことを指導現場でいかしていただき、自信を持って柔道の授業をしていただきたい」とまとめのあいさつがあり、充実した内容の研修会が終了した。

◇参加者の声
▽中学校教員(女性)「今年から柔道部の顧問になり、不安でした。技をかけるのは難しくて、なかなかうまくできませんでしたが、できなくても楽しかったです。生徒にも柔道の楽しさを伝えたいと思いました」
▽中学校教員(男性)「一番心に残ったのは『技術は徳を導かない』という言葉です。今後も指導者として子供たちを良い方向に導いていけるよう精進していきます」

鮫島講師の講義

はじめは低い姿勢から受け身の練習

きれいな受け身を修得するには時間がかかる

指導者は教えすぎないことも大事

技がかかった時の感覚を身につける

ぶつからないよう投げる方向に気を配る

投げられる時は潔く投げられる

約束練習ができるようになると意欲が増す