武道の振興・普及

兵庫県姫路市地域社会剣道指導者研修会

期間 平成25年8月14日(水)・15日(木)
場所 兵庫県立武道館
参加者 15名(参加者全員中学校保健体育課教員)
派遣講師 宮原昇治 教士八段(全日本剣道連盟)
山田博子 錬士六段(全日本剣道連盟)

概要

 中学校武道必修化対応の本研修会は8月14日、15日と、夏本番に兵庫県教育委員会の全面的な支援を得て開催された。お盆の時期と重なったせいか、参加者は県内の保健体育課教員15名にとどまったが、人数が少ない分、細かい指導の行き渡る密度の濃い研修が行われた。
 研修会は宮原講師と山田講師が指導担当を交代しつつ進められ、両講師ともに安全管理に細心の注意をするよう呼びかけながら研修を行った。
 研修会冒頭にパワーポイントを用いた講義があり、中学校武道必修化の経緯、必修化の狙い、実際の授業における安全管理について説明があった。講義では剣道授業を通じて生徒に学んでもらいたいこと、授業を行う際の注意点、安全管理について解説し、特に安全管理については、防具の安全点検、安全で清潔な学習スペースを確保することの必要性など、細かい注意点が挙げられた。
 講義後、道場に移動し実技講習が行なわれた。最初に授業の導入方法として「剣道じゃんけん(二人が手刀を構えて正対する。一人が掛け声の後、面、小手、胴のいずれかの打突部位に手を置く。相手は場所が重ならないようにいずれかの位置に手を置く。)」、「手拭いゲーム(手から下げた手ぬぐいを切り落とす。相手は切り落とされないように寸前で手を締める。)」、「パートナーを探せ(目隠しをしたパートナーを離れた位置から大声で呼んで自分の場所まで誘導する。)」、「新聞紙切り(三人一組になり、二人で持った新聞紙を竹刀で切る。)」、「どんぴしゃり(大きめのゴムボールの中心を打って連続でうまく弾ませる。)」といった遊びの要素を取り入れた指導法が紹介された。
 これらは遊びの要素を取り入れつつ、打突部位の学習、反射神経の強化、剣の刃筋、足の踏み込み、手の内の操作、発声、正中線を外さずに打つことなど、剣道の基本が学べるように工夫されており、受講者もリラックスした表情で実技に取り組んでいた。
 指導担当の山田講師からは、「授業の際には大きな声をだして元気よく指導するように心がけること」「生徒がきびきび動くようにしっかり指示をだすこと」「事故防止のために、頻繁に竹刀の点検を行うこと」が繰り返し注意され、要素として遊びが入っていても、あくまで授業であるということを受講生に印象付けていた。
 初日の午後は宮原講師による礼法、竹刀の名称から構え方まで、知識面も含めた講義があり、その後、空間打突、上下振りを実践。宮原講師からは、掛け声、構え、攻め、残心を意識するよう指摘があった。他にも、音楽に合わせて二人一組で面、小手、胴の打ち方を学ぶ「リズム剣道」で基本打突について再確認した。続いて木刀による基本稽古があり、剣道形を学んだ。
 最後に四人一組で、二人の実技を残りの二人が掛け声、打ち方、打たせ方、残心等、事前に配布されていた資料の評価表に従ってチェックを行う評価法を学び、初日の研修を終了した。
 二日目は防具の着用方法からスタート。生徒が共用する防具に対する衛生面での抵抗感を減らす、フェイスガード、小手下手袋なども紹介され、防具をつけての打突練習を行った。午後には五人一組での相互評価法、ポイント制の試合を行った。講師からは、評価に際して「評価の根拠を明確にすること」「前向きかつ具体的なアドバイスをすること」の重要性が説かれ、最後に資料に基づく評価についての説明と質疑応答を行い、研修会は無事終了した。

参加者からの意見

 「参考書や指導書に掲載されていない、細かい動作に対する理由まで教えてもらえて理解しやすかったです。」(女性・初心者) 「自分自身剣道経験者であるため、細かい指導ばかり意識して楽しさを伝えるという部分が欠如していたことに気付きました。導入部分を大切に伝統、文化とともに楽しさを伝え、剣道人口を増やしていきたいです。」(女性・有段者) 「全体の内容が充実しており、特に挨拶の仕方、礼法について学べたことが一番良かったです。」(男性・初心者)
といった感想が寄せられた。