宮城県(仙台市)地域社会剣道指導者研修会
期 間 | 平成23年8月19日(金) 1日開催 |
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場 所 | 仙台市立松陵中学校体育館 |
参 加 者 | 25名 |
参加者内訳
中学校教員 | |||||
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その他教員 | |||||
計 |
派遣講師
佐藤義則(財)全日本剣道連盟普及委員会学校教育部会委員
有田祐二(財)全日本剣道連盟普及委員会学校教育部会幹事
概要
宮城県及び仙台市教育委員会の全面協力を得て、平日、現職保体科教員を対象に、50分授業を想定した 実地の指導法研修を行うことが出来た。
宮城県は、3月大震災の影響で授業時間数が減ったため夏休みが短縮され、既に2学期が始まっている 学校も多く、参加者は当初予定の半分に留まった(詳細上表)。
また場所も、現地窓口である宮城県第2総合運動場はじめ、県内の武道・スポーツ大規模施設が何れも 災害による損壊、避難者の収容、救援物資の保管などにより利用できず、市中心部から車で40分ほど移動 した郊外にある中学校の体育館を借りて実施した。
研修は一貫して佐藤講師が中心になって行った。
冒頭の短い講話の中で、同講師は昨年全剣連で行った必修化採用種目に関するアンケート調査結果を採 り上げ、剣道が柔道(59%弱)に次ぎ約30%と増え、期待が徐々に高まっていると前置きし、従来の剣道 指導に付き纏う「厳しさの追求」「判りにくい専門用語」「一斉指導の多用」「長時間の正座」「素振り、 空間打突反復の苦痛」を挙げ、部活動とは異なり正課授業ではこれらに充分注意すべきことを指摘した。
研修は、テキスト「剣道授業の展開」(全剣連)から1日研修の内容を精錬抽出し、5つの課程に分け て、主に午前を防具が無い場合、午後をある場合として行われた。
導入部として、教師がにわか作りの武士に扮装し、鞘当ての寸劇を見せ、その中で左側歩行の理由や往 時の歩き方を説明するアイデアを紹介。また合間の講話の中でも、当時の武士の価値観、生活様式、「御 法度」や「心得」を紹介し、それらを授業の中でエピソードとして話し生徒の興味付けとする工夫を紹介 した。
実技では4人1組で新聞紙を切って刃筋の重要性を、切った新聞紙を丸めそれを打って出ばな技の動き を、また2人1組でバレーボールを打ち手首のスナップを効かせ芯を打つことの重要性を受講者自ら学び、 一見隔たっているように見えてもそれが剣道基本動作とどのように関連するかに触れながら説明した。
竹刀の持ち方も、全員で傘を持つように竹刀を握り、歩み足で歩き「止まれ」で止まった時が片足つま 先立ちの理想の体勢であり、そのまま傘の滴を振って切り、地面と平行にして右手を添えれば中段の構え になる。手の内、握りの要領も、テレビのリモコンを使うときの指向性など卑近な事例を交えて説明を加 え、指導法そのものの在り方においても示唆に富む内容に、聞きながら多くの受講者の頷く姿があった。
最後の質疑応答では、屋外で行う場合の指導内容や試合で興奮し打突部位以外を打つ生徒への指導法な ど、より実地に近い質問が出て、上達レベルに応じた指導を施すなど具体的方策が示されたが、どの講師 からも異口同音に竹刀など用具点検の確認を求める言葉が多く聞かれたことが印象的だった。
終了後、ある参加者(男子・専門サッカー)は明日にも活用できる実用的な研修だったと評価し、しか しながら身に付くには数度の受講が必要で、「程度をステップアップさせず、同じ内容でも充分なのでぜ ひ反復開催して欲しい」と希望を口にしていた。
別の参加者(女子・有段者)は、「周りからあなたは参加する必要が無いよと言われたが、受講して本 当に良かった。自分は有段でも初心者を教えることはあるので」と、改めて指導法の奥深さに触れ、感慨 深げだった。