宮城県(仙台市)地域社会柔道指導者研修会
期間 | 平成24年10月9日(火) |
---|---|
場所 | 宮城県第二総合運動場 |
参加者 | 62名 (男性46名、女性16名。全員が宮城県内の中学校保健体育科教諭。うち、39名が柔道初心者) |
派遣講師 | 浅野哲男七段(全日本柔道連盟・教育普及委員会副委員長)、山崎俊輔七段(全日本柔道連盟中学校武道必修化対策委員) |
概要
10月9日(火)に、宮城県第二総合運動場において、宮城県内の中学校保健体育課教諭62名が参加し、柔道の中学校必修授業向け研修会が開催された。研修会は、宮城県教育委員会と仙台市教育委員会が主催団体として加わり、教育委員会担当者が立会う中で実施され、宮城県内および仙台市内の公立中学校保健体育課教諭のうち、男性46名、女性16名が参加して研修を受講した(うち39名が柔道初心者)。
会場となった宮城県第二総合運動場は東日本大震災の被害による建物の復旧工事を終えたばかりで、10月1日の利用再開後、初めての実施事業となった。
研修は、浅野哲男講師が中心となって進められ、中学校での柔道授業の実施にあたり、事故を防ぎ、安全に指導をするための指導方法や注意点の講話や、受身を指導する場合のポイントなどに十分時間を割いて進められた。
最初の講話では、配布資料の「柔道の安全指導」等を使用しながら、
・柔道の指導では、ヒヤリ、ハッとした場面を放置すると重大な事故を招くことにつながるので、安全配慮、危険予見、危険回避をする義務がある。
・指導の原則は、易→難、低→高、遅→速、弱→強、固定→移動、単独→相対、基本→応用、単純→複雑という順番に則って行えば安全に指導できる。
・頭部を打ち付けたとき、急性くも膜下出血が起きたり、そのまま練習を続行した場合にセカンドインパクトが発生する可能性があるので安静にして、必ず医師の診断を受けること。
・事故が発生した場合の対処の手順(救命措置や通報連絡など)を保健室や職員室に予め貼っておく。
・安全な柔道指導を行うための全日本柔道連盟の取り組み(指導者養成事業や資格認定、指導者保険への加入)。
といった解説があった。
続いて、柔道経験の有無や男女別に色帯をつけてグループをつくり、柔道授業での準備運動を行いながら、受身に必要な首や腹筋の補強運動などを行ったあと、段階的に受身を学習する方法を学んだ。ここでも、転がる際に必ず帯を見て頭を打たないようにすることや、畳を叩く腕の角度、足を上げる高さなど、頭部を打たない、怪我をさせない受け身を身につけさせるポイントがあるので、よく生徒を見て、間違っていた場合は必ず指摘することが何より大切である。と説明があった。
ひととおり、動作を覚えたところで、講師の号令に合わせて強弱の変化をつけながら後ろ受身を行い、続いて2人組で少しずつ転がる位置を高く上げていく指導例を体験。徐々に高さを上げることで徐々に立った姿勢からの受身ができるようになることを学んだ。
午後からは、山崎講師の指導による、投技(膝車、体落)の段階的な指導法(単独動作→二人組、膝つきの姿勢で投げられる→立った状態で投げられる)や、抑技(袈裟固、後袈裟固、横四方固、上四方固)の抑え方と抑えられたときの逃れ方(海老、逆海老の動き)などを実践。投技では、投げる側が引き手を引き上げ、姿勢をしっかりすることで、受身を安全にとることができるので、投げた後の引き手を離さないこと、倒れこんだり上体をくの字に曲げたりしないようにさせることが重要であると、指摘があった。
そのほか、前回り受身についても、短時間で安全に、かつわかりやすく生徒に身につける方法を実践。立った状態から前回り受身を行って立ち上がる動作ができるまでになった。
続いて4人1組で、1名審判、1名計時係、残る2名が試合者となり、抑え技で10秒間抑えたら一本勝ちとする簡易な試合を行った。
最後に浅野講師から受講生に対して、きちんと段階を踏んで指導をすること。動作それぞれに必ず大事なポイントがあるのできちんと指摘すること。柔道着の帯や下ばきの紐が解けずに結べているかどうか、金属製の装身具が外してあるかなど、細かいチェックを怠らないこと。など、念を押して講習を終えた。
受講者からは、「柔道専門の講師の柔道に対する熱意を強く感じた。また内容が、高校、大学で教わった先生と同じだったことに驚いた。柔道は指導方法がしっかり確立されていると感じました」(男性、初段)、「講習を受けたのは3回目だが、本格的な講習で授業に使える指導方法を学ぶことができてよかった、体捌きの指導など、あいまいにしていた部分がはっきりしました」(女性、初心者)、「2回目の講習受講。自分しか指導する者がおらず、男女共習で行うことになっており、授業実施の直前で大変不安だったが、今日の講習が大変参考になりました。もう少し時間をかけて学びたかった」(女性、初心者)。といった感想が聞かれた。