武道の振興・普及

大阪府大阪市地域社会柔道指導者研修会

期間 平成24年8月27日(月)~28日(火)
場所 大阪市立修道館
参加者 60名(全員が大阪市内と近隣市の中学校保健体育科教諭。うち、49名が柔道初心者)
派遣講師 尾形敬史八段(全日本柔道連盟・教育普及委員会委員長)、石川美久五段、鮫島康太四段

概要

 研修会は、大阪市教育委員会が共催し、大阪府教育委員会が後援となって、大阪市と近隣市の公立・私立中学校保健体育課教諭(段・級位を持たない初心者49名を含む)が参加して実施された。
研修では、
①怪我を防ぐための柔軟運動(ストレッチ)や補強運動(腹筋、背筋、腕立て伏せ)の方法。
②柔道指導の手引やその他の指導書の内容紹介と活用方法。
③受身の取り方(後方受身、横受身、前回り受身)と指導の要点。
④相手を投げるときの姿勢(自然体や自護体の意味)や引き手の持ち方。
⑤膝車の段階的指導法(低い位置から練習を始める。はじめは受けが片膝をついた状態で投げる)。
⑥大腰の崩し方や受け側の姿勢。
⑦膝車の動きを応用した体落の掛け方。
⑧大内刈の掛け方と受身の取り方。
⑨抑技(袈裟固、後袈裟固、横四方固)や返し方(逃れ方)。身体を海老の字に動かして逃れる。
⑩相手が抑技から逃れた場合の対応方法(袈裟固→後袈裟固→横四方固→袈裟固に変化する)。
⑪抑技の簡易試合(選手2名と審判役、計時係の4名1組で行う。10秒間抑えたら一本勝)。
⑫前回り受身の指導上の注意(腕で輪を作り、頭部を護る)。
⑬大外刈の安全な投げ方と受身の取り方(他の投技同様に横受身でも受けが取れる。後ろ向きに転倒する可能性を少なくできる)。

 など、受身や投技、抑技を同時進行で学びながら、簡易な試合を行うまでの過程を学んだ。
 特に受身については、投げる側の注意(引き手を離さない)や受身を取る姿勢、畳の叩き方について研修期間中、要所で入念な説明があった。
 参加者の大半が柔道初心者だったが、保体科教諭だけあって大変理解が早く、所定の研修内容を全員順調に消化。2日間とも大変蒸し暑い中の研修となったが、参加者は終始熱心に取り組み、怪我や体調不良者もなく、無事に研修を終えた。
 参加者から寄せられた感想では、
「柔道は相手のことを考えなくてはならない競技で、自分自身が怪我をしないことはもちろん、相手を怪我させないようにすることが大切であるということを子どもたちに伝えたいと強く思った」 (女性・初心者)
「運動に怪我はつきものですが特に柔道の安全な指導法には悩んでいました。生徒も柔道に対する恐怖心はあると思いますがそれを拭い去るような、楽しく、かつ工夫した授業を行いたいです」 (女性・初心者)
「実際に自分が体験することで、身体の遣い方がよく分かりました。実際の50分間の授業時間でどのような組み立てで展開していけば良いかについても実践して体験してみたかったです」(男性・初心者)
「特に投技で投げられた後の“受”の側の受身の取り方の段階的な練習方法が参考になりました」 (男性・初心者)
「安全に特に気をつけなくてはならないために柔道はあまり好きではありませんでしたが、研修を受け、認識がかなり変わりました、少しずつ段階を踏んで教えていけば危険度も低く、受身も正しく行えば痛くありませんでした」 (男性・初心者)
「柔道の授業のイメージはどうしても“痛い”“怖い”が先行すると思うのでそのイメージを消して、柔道の面白さ、楽しさを教えたいと思いました」(女性・初心者)
「講師の先生に投げられたとき、“自然体”で相手を信頼していれば何も怖くないと感じました。これはとても大切な感覚だと思いました」。 (女性・初心者)
などの感想が寄せられた。